町田で行われた「電子レシート」の実験に参加してみた


2018年2月13日から2月28日まで、町田市内にあるコンビニ・スーパー・ドラッグストアなどで電子レシートの標準仕様を検証する実験が行われました。その実験に参加してみました。実験に参加、と言っても、アプリをダウンロードして買い物をし、アンケートに答えるだけです。

電子レシートを利用してみて

会員登録からレジでの利用まで

まずは電子レシートのアプリをダウンロードして会員登録をします。携帯電話番号またはメールアドレスによる登録が可能で、自分のLINEアカウントと連携を済ませるとLINEでもログインできます。

電子レシート(AndroidiPhone
無料

電子レシートアプリは、経済産業省から委託を受けた東芝テックが運営しています。

電子レシートアプリ

電子レシートアプリで会員登録を済ませる

性別と生年月、郵便番号の登録は任意です。後述しますが、ここで登録しても第三者に提供する情報を選択(マスク処理)できます。

電子レシートのバーコード

画面に表示されたバーコードをレジでスキャンしてもらう

あとは対象店舗のレジで「電子レシートでお願いします」と伝え、画面に表示されたバーコードを店員さんにスキャンしてもらえばOKです。ちなみに今回、2つのお店で電子レシートを使ってみましたが、どちらのお店も店員さんにきちんと周知されてました。

電子レシートの見た目は紙のレシートとほぼ同じ

買い物の合計金額や「食費」「医療・保険」などの項目別の金額が表示されているほか、電子レシートの見た目は紙のレシートとほぼ同じです。

電子レシート

電子レシートの見た目は紙のレシートと同じ

わざわざ紙のフォーマット似せる必要があるのかどうかは議論の余地はありそうですが、見慣れたフォーマットには安心感があります。

ただし、全く同じというわけではありません。こちらは実際にもらった紙のレシートです。

紙のレシート

実際にもらった紙のレシート

電子レシートでは、青枠で囲った部分(各商品のJANコード、印紙税申告納付……、本社所在地、ぼかしを入れていますがその下にバーコード)が省かれています。

月別の電子レシート一覧と月間集計

月別の電子レシート一覧と月間集計


電子レシート一覧画面では、お店ごとに表示を絞り込んだり、新しい順・古い順でソートしたりすることができます。月間集計では項目別で金額を表示できますが、この「項目」を変更する設定画面は見当たりません。

家計簿アプリなどと連携できる

電子レシートアプリは以下のアプリとデータの連携が可能です。

  • 家計簿マネーフォワード
  • 家計簿レシーピ!
  • Staple(ステイプル)
  • シル+(シルタス)
  • LINE

あいにくLINE以外のアプリは使っていないので未検証です。

第三者への提供情報を設定できる

電子レシートのマスク処理

生年月や郵便番号、購買日付をマスク処理できる

第三者に提供する情報は「低」「中」「高」「自分で設定」「データを送信しない」から選択できます。

性別 生年月 郵便番号 メールアドレス 購買日付
提供必須 公開 公開 ドメインのみ 年月日+正確な時刻
提供必須 年代のみ公開 下4桁をマスク ドメインのみ 年月日+おおよその時刻
提供必須 年代のみ公開 下4桁をマスク ドメインのみ 年月日のみ

性別とメールアドレスは変更できません。「自分で設定」を選ぶと、生年月・郵便番号・購買日付のマスクを自由に組み合わせることができます。

複数のスマートフォンでも利用可能

当然といえば当然なのかもしれませんが、登録した以外のスマートフォンからでもログインでき、同時ログインも可能でした。

電子レシート実験に参加して気になった点

町田駅周辺では2店舗のみ

実験には町田市内にあるウエルシア、コージーコーナー、ココカラファイン、三徳、東急ハンズ、ミニストップの計27店舗が参加しました。

電子レシート実験参加店舗

電子レシート実験参加店舗

しかし、人の動きが一番多いであろう町田駅周辺では東急ハンズとココカラファイン町田店の2店舗のみです。

実験なので多くのフィードバックが必要だと思いますが、そのためには町田駅周辺でもう少し店舗を増やしたほうがよかったのではないかと思います。

おそらく今回の実験の結果を検証したうえでもっと大規模な実験をするんだろうとは思いますが。

運用面での課題

電子レシートとは関係なく、実験の運用そのものに課題が多かった印象です。

経済産業省のプレスリリースのページからアプリストアへのリンクがない(QRコード表示のみ)

アプリストアにワンクリックでアクセスできない


アプリストア(Google Play/iTune store)へワンクリックで飛べないというのは個人的には大問題です。

以前、スマホアプリ関連の仕事をしていました。1日に数十通、日によっては100通以上のメールが届くなか、新規リリースのアプリでアプリストアにワンクリックで飛べない内容のメールは、よほど魅力的な何かが無い限り、即ゴミ箱行きでした。

連携アプリで何ができるか説明がない

家計簿アプリなど5つのアプリとデータ連携ができますが、どんな連携ができるかの説明がありません(家計簿アプリは何となく想像できますが)。

このあたりはアプリ提供側での説明なのかなと思い、それぞれのアプリの公式サイトや公式ブログなどをチェックしてみましたが、関連する説明や紹介は見つかりませんでした。

1社だけプレスリリースを配信していましたが、経済産業省のプレスリリースとほぼ同じ内容のものでした。

アンケート参加でもらえるポイントが何のポイントなのか分からない

「実験参加後、アンケートに答えるとポイントをプレゼント」というのはあちこちで見かけたのですが、何のポイントがもらえるのかどこにも書いてないのです。

もらえるのは実験に参加したお店のポイント(WAON POINT、ココカラポイント、Santokuコジカポイント、ハンズクラブポイント、LINEポイントから選択)だったのですが、これが分かったのはアンケートの最終ページでした。

終わりに

普段、買ったものに何かあって返品や交換するときのため、基本的にレシートは受け取るのですが、買い物の件数が多いとかさばってしまうので、電子レシートが早く普及して欲しいと思っています。

ただ、大手チェーンはともかく、中小の商店での導入はハードルが高いですし、サーバーの管理や維持費の問題、税務署的にはどう取り扱うかなど、課題は多そうです。

ちなみにですが、経済産業省の「実験の背景」によると、電子レシートは消費者の利便性というよりは、購買履歴のデータの利用、つまりマーケティング目的が第一のようです。

正確な消費者理解に基づく製品・サービスの開発・提供に役立つデータとして、購買履歴があります。 今回の実験の対象となる買物レシート(購買履歴)データは、誰が、いつ、どこで、何を買ったのかを示す、非常に有用な情報です。

他方、多くの場合、購買履歴データは事業者ごとに分断して管理されているため、各事業者のデータを統合し、特定の個人が様々な店舗で買い回りをしたことを示す購買履歴データを生成することは困難です。

そこで、本事業では「電子レシート」に注目します。各店舗から発行される買物レシートを標準仕様で電子化し、個人に蓄積することで、当該個人が起点となって、様々な店舗から発行される電子レシートを統合管理することが可能となります。

電子レシートの標準仕様を検証する実験を行います(経産省)より

関連情報

リンク電子レシートの標準仕様を検証する実験を行います~個人を起点とした購買履歴データの活用を通じて消費者理解向上を目指します~(経済産業省)

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